自動車ローン支払い中の交通事故

先日、交通事故治療でご来院された患者さんが
「交通事故を起こした車にローンが残っているのに」と話されていたので
ローン支払い中での交通事故のケースをご紹介しようと思います。

ローンが残っている車(所有権留保車)で物損事故を起こしてしまった場合―。
もし自分が悪くなく、相手の運転手が加害者という場合、自分は損害賠償金を請求できるのでしょうか。

まず答えは「請求できる」です。
ただし「修理」の場合のみとなり、
「全損」だと、ローンを提供している信販会社などが、代わりに請求することになります。

●損害賠償金を請求できるか?交通事故被害者が迷う理由
「自分が被害者なのだから、加害者に請求できるのは、当然だ」と思いますよね?
確かに「自分の所有の車」ならそうなのですが
マイカーローンがまだ残っている「所有権留保車」ということは、
「その車両は、まだ自分のものではない」ということなのです。
「自分の物じゃないのに、賠償金を請求できるのか?」ということから迷う人が多くいます。

●自動車の使用者はローン会社から「車を管理する責任」を背負っている

自動車ローンが残っている車(所有権留保車)は、自分の物ではありません。
しかし、それでも「運転している」のは自分です。
ローン会社が所有する自動車を、そのドライバーが「管理する責任を負っている」ということになります。
ローン会社と自分(運転する人)の間で、
●この車、まだローン会社のものだけど、運転していいよ!
●代わりに、あなた(使用者)のものじゃないんだから、管理はしっかりしてね
という約束を取り決めている状態です。
つまり「人様から借りているので、大事に使う」ということになるます。

【全損だと、運転する本人は賠償請求ができない?】
一つ難しいポイントは「全損か、修理か」ということです。それぞれのケースで、加害者に対して賠償を請求する人が変わってきます。
〇全損の場合は…ローン会社
〇修理の場合は…運転者(自分の保険会社)
【全損だと、ローン会社が損害賠償請求をするのはなぜ??】
全損ということは「その自動車の価値は消滅した」ということになります。
そして、ここで重要なのは、この車は「担保のアイテム」だった、ということです。
ローン会社は、運転者に「お金」を貸してその担保が、車だったとなります。
「この人が返済できなかったら、車を取り上げればいいや」と、ローン会社は思っている状況で
交通事故により担保がなくなる状況となるため、加害者に請求を行うのが当然となります。
【全損事故によって、車のローンは消えるのか】
●交通事故に過失がない場合は
基本的に消えると考えていいでしょう。
ローン会社はまず、加害者に損害賠償請求をします。
加害者が「対物賠償責任」の保険に入っていれば、そこからお金が出ます。
それで足りなくても、加害者本人に対して、ローン会社が請求することになります。
●交通事故に少しでも過失があった場合
過失割合が少しでも発生した場合は、過失割合により保険の車両保険より支払いが必要になります。
しかし車両保険に加入していなかったり金額を上回った場合には、ローンは残り支払う必要が出てきます。

交通事故は100%どちらかが悪い、というケースは非常に少なく少なからず自分にも過失割合がつくことが多くあります。
車がもうないのに、お金だけを支払わないといけない・・・なんて悲しいことにならないためにも
車両保険の加入など、保険の見直しなどはこまめに行いましょう。

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